アクアマリン・マン

 

僕は自分の宝石がアクアマリンに決定したとき感動した。雷山の山奥で育成された僕が唐津商業高校に合格して、まず臨んだのは唐津の海だった。博多の伝統菓子舗に奉公した8歳上の兄が戻り、僕は兄と同じ部屋で伯母の自動車整備工場を手伝いながら高校へ通った。その頃はまだ女子生徒は数えるしかおらず、僕は兄のバイクに乗せてもらいあちこちを走った。もし、兄がいなければ?僕はもしかしたら、挫折を余儀なくしたかもしれない。兄弟は助け合う為、神様が与えてくれたギフトに違いない。