dbs12

 最後は土下座です。それを見たとき、この人物のプライドの無さを思う。しかしそれは間違いでは?って思い直す。彼は自分が海軍にいたこと、そのことの奇遇を話し始めた。もしも陸軍ならここまでの思慕を、彼から得られただろうか?・・・彼が土下座をしたのは深い意味があるのでは?それは未来を変えてしまうような二人の接点ではないのか?しかし、穿った考えをすぐさま、私は捨て去ります。少なくとも結婚は激情に駆られた相手の野心を満たすものであってはならない。しかしここまでお願いされたことで女性の特権が舞い降りてきたのかも・・・と一瞬喜びそこで戸惑うのです。二人が所帯を持った暁には、家庭の操縦権は全部自分にあるのでは?っていう速い暗算です。それなら考えてみる価値がある。試しに尋ねてみます。何もかも私の意見をそのつど、採用してくれるんですね?彼は即座にうなずく。もちろん好きなようにすべてを君に任せたい。おうちがやりたいように家庭を作っていって構わない。私はそれならば前進と思うのです。戦後の暗いでこぼこの小道を手探りで歩いて来たのです。優秀な子供が誕生したら自分本位で英才教育も開始出来る!!それはしかし、至難の業でした。聡明な友人たちのように行くわけはない。どこかで彼女たちとの落差も感じていた私。起用な人物にはそれなりの不断の努力が裏で織り込み済みだったのです。