Ss132

 僕は引きこもりをうん十年も続けたから、恐らく引きこもり家族の内情は誰よりも解っている。悲しいかな家族はどっちかのタイプに分かれる。内情を隠すか公にするか?しかし意外な展開だが僕の親父はまず僕が働かないことを近所に触れて回ったから僕の怒りは頂点に達する。すぐさま父に僕の人生を台無しにした事実を蒸し返し謝罪を求めた。父は中々謝らない。近所に息子の怠慢を言ってどうなる?それで事態が打開を?って僕はとことん父と向き合って謝らせようとしたがダメだった。大正生まれは戦地に行っているからそれが正論になって聞こえる。そこが父の強みといえば強みで、至近距離に僕のハトコが三人いることでいつも比較査定されて来た辛さがあった。彼らは三人とも教員になって僕を見下ろす。いや、相手はそうしてないと言っても僕にはそう見えた。見降ろしていなくとも見えるというのはすでに劣等感の塊に陥っていた証しだろう。父と僕との抗争は短期間ではない。僕が正規の場所で1年以上働いた経歴はなく父はそこを突いて嘆くという繰り返し。僕は姉が羨ましかった。再婚によってたとえケチな旦那ではあっても社会的地位を得たことが余りに僕とはかけ離れていてジェラシーを禁じえなかった。僕は姉と対等にものが言いたかっただけなのにいつも6歳上の姉は、僕を見下ろすかの口調。金は全く持ってない。それでいながら僕を見下ろす圧力。これがリアル現実だった。