ss337

 僕はマスクを付けない。そんなあぶく銭はない。しかし買いたくとも今・・・店頭にないが実相だろう。姉はマスクをずっと掛けていた。前歯が無いからだ。人と話す時に相手が嫌な気持ちにならないように、姉は細心の気を遣いコンビニではマスクを外して勤務したことはない。僕も健常のようで実は前歯はない。二本とも失くしてしまった。大事にしていた積りではあったが失くして分かる。ここまで歯が正直だとは思ってもいなかった。心の疲弊でも歯に来る。みんなが、それは違う!!毎日磨いていれば大丈夫!!って。しかし僕は塩で磨く位気を付けていた。食塩はいつも常備だった。それなのに姉が失うよりも先に前歯二本を失う。きっと世間という鬼と闘った証明ではないか?って推測する。鬼門の頂上で僕を見下ろす奴ら。独自の推測域だが、人の偏見と僕は闘って来た。みんなが僕を見る目・・・義兄だって親の介護しながら働けば?って実に冷風扇だった。親戚のみんな・・・ひと癖もふた癖もある教員田畑で均した偏見人たち。人癖、そして蓋癖がある。これも川柳に出来るな?って素人の僕にも段々要領が掴めて来た。嫌なものには蓋をしたいがブルジョアの気質にはある。その向上委員会が僕のようなはみ出し者を許さない。ユニーク発言だって聞こえないふり。しかし彼らの風刺によって僕が潰されることはない。