サファイア・マン《かけがいのない男編》〔115〕お腹に子供を授かって胎内にいる期間ははおよそ九ヶ月。キャロルの場合子供を五人産んでいるので、四十五ヶ月単体ではなかったということで、思考もだぶっています。およそ、三年と九ヶ月、ひとりっきりではなかったということです。母親には特に父親にjはわからない思考分野があってそれが身重の思想や哲学でしょう。この世の中がどんな場所かわからずに子供が生まれるのではなく明らかに子供はある程度をわかって生まれてくるのでは?と。心の中の葛藤や苦しみは今考えればなんともないことですが、実際それに今の若者が遭遇していたならそれはそれで大変だったろうと思うし、自分はこうして次の子が三月に生まれてくるということで、希望を持てたことや、まだ彼の変身を期待出来る位置にいたことが恵まれていたのです。そして冷静に、こう思ったのです。子供を生むことでは最善を選ぼう!!これによって少しでも危機に陥ることは避けないとと。無防備で萎縮した感情は完全に修復され、キャロルは彼によって救われるべく自分を想像しました。願っても無いチャンスが出産へのあゆみを確実なものへしていくのだろうと。誰もが結婚を成就だと認めるその段階や結晶を信じたかった。結婚は?と訊かれたら、キャロルは迷わずこう答えるでしょう。女性をのし上がらせるもののひとつである・・・と。