サファイア・マン《かけがえのない男編》〔49〕三菱勤務の男性はインテリでしかも工場系でない分、ハイブリッド興奮でした。しかし問題はあって曇ったフロントガラスのようにキャロルのこころのワイーパーをオンにするのです。仲間である同僚が早々と退散、しかも一緒に飲んでいる我々に黙ってです。そういうのはフェアではないし、滅多にないことです。一言言って普通は帰るものです。恵理はそのことに直感はあったようです。含みがあってもわざと言いません。キャロルに経験という名のもとで特訓を課する予定なのです。二歳年下であっても恵理はキャロルの数倍耳年魔でしてキャロルはフトッパラになります。自分はここで人生の図太い親友の知恵を拝借、どんなに酔っ払ってもハメを外すようなことはないと・・・。マスターはクラブなんかにおらず、うちの店に二人ともおいでよ?と冗談めかして持ち掛けてきます。何しろ、マスターとママには物語りがありました。恐らくこの界隈の人々全員が衆知のストーリーです。まだ、マスターが学生の頃、アルバイトで働いたそのクラブのナンバーワンホステスだったママにゾッコンになりせっせと愛を打ち明けて、やっとこさ、二人が結ばれた。そしてその暁には、この新装開店のスナックに持ち込んだ。なんという美しいふたりの物語。生活にまみれて貧乏三昧のキャロルとは一味違うシャンパングラスの香りなんですね・・・。