ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔128〕本当に純粋な音楽への気持ちは父親を尊敬の念で見つめるという点では一寸の狂いもないのに、どういう訳かまさお君の現実思考は父親への不満を噴出させていてまだ、キャロルが一人前でもないのにお給金についてをその思いを父親にぶつけていたのです。今思えば、彼もお給金なしで働いていた可能性はありますがそこは思い出せません。キャロルは喫茶ママが憧れてやまなかったアーケードのとある喫茶をまさお君と訪ねます。そこは二階に上っていくとガラス張りで諫早の天満町アーケードを眺められるカウンターもある喫茶店。若い女性たちに人気の店でした。アルバイトをしないことには自分達ふたりの生活費を稼ぐことが出来ないのでふたりで決めて面接を受けたのです。ふたりとも合格でした。しかしいっときもたたないうちに彼は離脱してしまうのです。接客のときの声の出し方、レジでの計算が人より少しだけ遅いことをマスターは問題にしてキャロルはひとり残るのも寂しくて辞めてしまうのです。彼はそういう失意のときもそして・・・もちろん嬉しい気持ちで一杯なときにも音楽を糧にしていました。いつかは花開くに違いない、キャロルはやはりまさお君のお父様のバンドマスターとしてのバンマス度を信じて音楽活動についていくことにするのです。