サファイア・マン《面白い男編》〔40〕普段ボックスに座って飲むと会員でも一万下らない。それを思えば、このパーティ券は破格で、これを機にぞくぞくと思案橋の一角を制する強豪たちが飲みにきます。そんなときでした。キャロルは恵理のお母様のご紹介で浜口町から来た顧客に付いていました。恵理はこの世界で、若いとは言え、顔見知りが多かった。このホステス稼業も自分を磨きママになる為の試金石だったに違いありません。一度恵理の部屋を訪ねたことあるんですね~本当に小さな静かなオタクが棲むような部屋でしたが、所々に女の子の工夫が垣間見え、コミック大好きな様子がよくわかるそんな部屋でした。恵理はこの頃、思案橋で、恐らくスナック名店で、知らない人物はいなかったでしょう。そして・・・金銭感覚がありました。もうひとり顧客が後から来た時あゆみさんも券の割り当てあったでしょう?この顧客で一枚出していいですよ?って。ハッと気が付いたのは恵理の優しさとともに、ホステスみんながこのパーティ券を重圧に感じて、早く吐かせようとしていることでした。自分は甘いな・・・とそう思い、こころを真っ白にします。ホステスとはいってもここのホステスはそういえば、スーツを着ていてキラキラした宝石を身に付けた女性は皆無。しっかりした自分というものを持って、しかもブランドと共にプライドを身に付けている・・・・と。キャロルはこの人物を知らないと恥をかくんだよっていう人々も紹介されますが、顔を覚えられない性質は今思えば当時からだったんですねえ。