サファイア・マン《緻密な男編》〔48〕恵理は会話の敏腕さで周囲を沸かせるし、その知識の範囲は見事なくらい掘り起こされていて、種類も豊富でした。スナックの名前を聞いてもキャロルはピンときませんが、扉を開いて中に入って思い出します。こ、これは・・・。マスターが立っています。キャロルは恵理と並んで一緒にカウンターに座ります。熟練のマスターに必須なことは、まず入ってきた顧客の顔をインプット。この脳への印字能力でこれからの分かれ目が生じてくるし、ママよりもむしろマスターが鍵を握る店なのかな?そういう示唆の元にありました。キャロルが採用のときにもママよりもマスターが気に入ってくれた、そういう記憶も蘇ってくる。キャロルは試そうとします。一度きり自分が泊めてもらったこの家のふたりの経営眼が果たしてキャロルを覚えているだろうか?という範疇ですが、マスターは覚えていてくれたのです。その眼力・・・。ほとほと参らされます。そして二人が在籍するクラブの話で盛り上がります。この辺りからですよね~カッコいい恵理とキャロルの顧客も楽しくスリリングに飲み始めます。これからの話は人生の綱領として必ず身につけるという気持ちで読んで下さい。彼は全開で、飲むというドリンク界を凌駕しているし、ふたりの女の子にも恵まれ、しかし・・・一緒にいたはずの会社同僚が先に帰ってしまっています。これからが盛り上がるというのに?