結婚生活を何十年もクリア、ホホホっていう三文字で終わって見せたとしても、人には言えない苦労がそれぞれ、女性達にはあったと思うんだ。外では温厚に見せて、内では、反抗心一杯っていうタイプの女性が多いって思うね。キャロは、嫁姑の苦労が欠落していたから、あまり気を遣うという場面もなく来れている。もし、逆に、それがあれば、とっくの昔に、大成していたかも・・・。それぐらい、家庭内哲学っていうものの比重は重いんだ。町にそれなりの歴史があるように、家にもあるんだ。霊が凌ぎを削っているような、そういう、怖い実家こそがキャロ六歳から二十歳まで暮らした、矢上神社横の、和田家〔祠〕だった。家というより、霊たちの住処になってた。キャロの金縛りがなくなったのは、50歳過ぎた頃なのかなあ。キャロの父は、一度目の結婚で、二人のみどり児を亡くしている。そして、父の母タヤがお暇を出した。子宝のない女に対する、臨時休業を意味するお暇。それでも父の先妻は、裕福な家に迎えられて、幸せになったそうで、キャロは胸をなでおろしたのだ。生長の家に関連する女性だったらしい。命の火を消すか、消さないか?それは神の仕事。ここを存外にすると、怖い。タヤを決して責めてはいない。むしろ・・・利発が過ぎたのだ。