エメラルド・ウーマン

 私達の時代は女性の嗜みとして必ず挙がっていたのは和裁です。洋裁がそのあと、出てきましたが、苦手だったあたしです。和裁も苦手で姉も妹も母から甲をもらっていました。あたしは乙でもなくその下です。姉など、尋常小学校を出てすぐアルバイトで東望の浜海水浴場で知り合った大学卒の男性の元に嫁入りし、独学でお花の師匠にまでなった。今思えばありえない話です。皆がなにがしかの目標を持ち邁進したからこそ、生きていく活力を温存出来たことは自明ですね。きっと容子は浦島太郎の残念な面持ちで沈んでいます。まだ砂浜で、過去を苦々しい気持ちで見ている。何も入ってなかった玉手箱。しかも煙で頭はマッシロです。こんなストーリーは自分だけでいい。まっぴらごめんっていう正直な吐露でしょう。しかし替わりに今来ているものの内訳がものすごいもの・・・みんなにもあの物語は、現実に則っていることがわかる。ゼッタイに開けてはいけませんよ、玉手箱は・・って言われても言いつけを守ってない。うらしまたろうは容子そのものです。しかしどこか滑稽でみんなも笑いが込み上げてくる・・・だから愛されるのです。