デニム・ブルーママン18の6

 将来を決めて高3の頃はみんが奔走しますが容子にはこれといった目標がなかった。・・・とは言うより、作曲が出来たことでそういう方面への開花をまず狙いとして定めていたことは言える。しかしなりたいのはピアニストではない。そこがまだ、みんなに理解してもらうに至らず夫とも論争になっていました。夫が言うのは手堅い生活で、容子の考えが夢に近い・・っていう稚拙さ?しかしあたしが第六感で捉えていたことは書いておきましょう。それぞれが同じ認識ではいない・・・という理屈です。才能は、確かに夫が言うように未知なる世界に埋没しているものかもしれない・・・しかしそこを果敢に掘り出していく人生もなきにしもあらず、本人にその気があるのなら自然に発掘へ向かう代物なのでは?っていう理屈です。私達はさもこれみよがしに人生はこうだ・・・って特に熟練のオトナは猛然と言い放ちますが、本来作家とか作曲家は自分自身で己の概要をすでに知っているものだと推測するのです。未知数のものをみずから感じている場合も当然あるという事実。しかしあたしは表面上夫と同じ土壌に立って容子を守るしかなかった。遠くにあの子が行かないように敷居を設けていました。7月になって義母のタヤに異変が起こります。古くなったニラの味噌炒めを食べてどうも腹下しを起こしたようで先生にも来てもらいます。それはそれは健康に自信のあったタヤで、90歳まで生きることは誰もが信じ切っていただけにショックでした。義母はやはり大村に棲む長女夫婦をもっとも頼りとしていたのか、すぐに連絡を獲るようにあたしに懇願してくる。私は言う通り電話を掛けてすぐ来てもらうのです。(24309)