デニム・ブルーママン11の10

 段々と体調が改善しある程度の食欲が戻り、安心というメリーゴーランドが周り始めた頃、容子はピアノを一旦休止にして、思いっきり、外の遊びに時間を投じたいと、本心を漏らしてくる。それにはひとつ、理由があったのです。京都から私の夫の手によって連れ戻された妹美知の体調のこと。今もって快方へは向かわず、皆がピリピリして見守る日々。容子にも深刻な病状が伝わって子供なりに理解をしていたことが起因していました。後に夫は、半ば強引に連れて帰ったことを悔いる…妹は人生の目的を失い、めっきり気落ちし、やつれてしまったからです。本当は本人が望むままにしてあげることが最善でしたが、タヤは強い拘束愛で美知を縛り上げてしまった。それが周囲の目に明らかだったのです。