デニム・ブルー・サファイアママン3の9

 夫の純情で飾り気のない姿やこころは学校の教室では光るでしょう。しかし大人への対処と子供たちへの対処が同じであるはずもなく、私は貯金箱を見つめていました。夫が受け持つクラスの生徒達が容子の誕生に合わせて募金をしてくれてそれを頂いていたのです。容子と言う子供のためにみんなが動いてくれた事実。しかもまだ、おこずかいなどほぼ貰えない時代の貧しい子供達です。どうやって集めたのだろう?って。純真な心でふと、この容子の未来を予想してしまうのです。小銭に縁がある人生。あまりお金持ちではないけど、貧乏のどん底でも、夢を結構描いている容子なのでは?って。実力はともかく、この世は、気モチ次第っていう根底はしたたかだったのです。自分が夢をみないのに人様に夢を語れることは?絶対に出来ません。自分の夢の押し売りはいけませんが、人々が後に、容子の夢を一緒に追う姿が見えてくるのです。同じザイルを付けて山の急斜面を登って行く・・・それならなんていう男も顔負けの人生でしょう。夫にはないものを容子は持って誕生していた。それが得体のしれないもの、掴みどころのない部位かも?って。格闘があった日、一気に夫はしょげかえっているけど、すぐ元通りになっている。私にはない変わり身の早さでもあったのです。