デニム・ブルー・サファイアママン3の5

 ひと通り、育児の本で学んでも、実際に子育てに入ると予想外のことがたびたび起こる。しかし夫は、正確に物事を解決する性向で、あたしの方がパニくる場面も多かった。敗戦後も、ある意味、引きずっている違う心がきっとあったのでしょう。プライドも、まっぷたつに、へし折られ、あたしの敵意はしかし、アメリカに向いているはずが違うのです。確かに憎いはずの敵国。しかし文化や政治に次々と盛り込まれるアメリカ仕様。あっと言う間に、モンペからスラックスへ、そしてジーンズが入ってくる。人々のこころもあんな戦争、二度とは思い出したくはない気持ちが反発として拒否反応としてあったことも自明です。私はそういう変化に対応出来ず、ただ、一心で、容子を見つめ、ひとつのことだけに終始したのです。いきなり詰め込ませようとしても無理難題は立ち塞がるもの。じゃあどうすれば?って。少しずつ徹底させることよ?っていう友人の言葉に見い出したのは、一日にひとつ言葉を覚えさえ、その子の頭に浸透させる枠組みを頭の中で完結させる・・・想像を絶する難関ではない。きっとそれをするのが母親であり、父親なのでしょう。彼は情操が単一ではないを意見してきます。一冊の本との出会いが関与を深めていく・・・確かにその通りではあったのです。