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 僕が一番尊敬する先輩は今も踏ん張ってファミマで働いている。この女性がいなければ僕は大変なことになっていたのに免れる。なんと名字が平仮名で一字しか違わないということで別の男性の制服を着て勤を押していたのだった。しかしその先輩はすぐに気が付き、なんか変!!それ、違うんじゃないの?って。僕は青ざめる。なんてこった・・・すぐに脱いでこなくちゃあ!!って急ぎ足になるところを止められる。怠を押さなきゃいけないでしょ?あああ。僕はすぐさま言われる通りにして間違った上着を元通りにハンガーに掛けて、自分の上着を着て、扉を押して店に出て行く。アワテンボのところを直さなくっちゃね!?って言われて素直な気持ちになって質問する。間違って着てしまったことは、この先輩に伝えるべきですよね?いやあ、あたしはそうは思わない。な、なぜですか?だって、悪意があった訳じゃない。言うことで相手が不快になるよりも黙っている方がいいとあたしは思うって。しかし僕は馬鹿正直過ぎたのか、一ヶ月してその先輩とバックヤードで会った時に打ち明ける。ぼ、僕は実は一回だけ先輩の制服着て、勤も押したことがあるんですよ、本当にすみません。先輩は、飲み込みが速かった。そういうことね?別に気にしないでいいんだよ?爽やかだった。僕はその時思ったのだ。言わないでおくことが出来なかった僕でも、これから成長して変わっていくのでは?って。人の失敗を許すことが出来る大きな容器でもあった。