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 家庭人としてはそんなに魅力はないけど、積んできた経験がびんびん才知を伴ってくるケースがあってそれがもしも義兄であれば姉はこの先、さらに御の字だろう。なぜ、僕がそこまで思うかは姉を見ていれば分かる。この姉はもともと怠けものだった。僕はそれを嫌という程見ていた人間だ。高校時代もほぼ姉は文机に足を乗せて自分のすね毛を一本一本抜いていた。弟の僕だってそれは見たくはなかった。しかし・・・こいつ、もしかしたら男じゃないか?っていう疑惑を僕が頻繁に抱いたのも正直な話。文机はどんな気持ちで両親が買い与えたものだろう?そこを踏まえれば片足だって乗せることは出来ない。ましてや女性ならしてはいけない格好だと僕は思う。姉はにきびで相当高校時代は悩んでいたようだ。毎日一畳しかない狭い部屋で姉がやっていたことはむだ毛の処理とニキビ潰し。潰したらなお顔は酷くなるのににきびを自分で潰して軟膏を塗っていた。それを見るたびに心が凍えた。顔が不細工の上にニキビだ・・・。神を呪ったのは姉だけではなかった。しかし僕は素顔を知っているだけにあの怠け者の姉が、35歳からみるみる変わったことを激白する。姉はどういう訳か怠け者を返上して、原稿用紙を買い込み執筆するよう変化していくのだった。