Ss181

 負け犬の遠吠えで僕はしゃかりきになって吠えて来た。三十代まではそれでも何とか絵になった。問題はシニアを過ぎてシルバーになった時・・・。僕も姉も同じ落ちこぼれでありながら、完全に姉と僕を境界線に立たせてしまうのが早期教育だ。そこがおこがましいし、僕を劣等感に陥らせる。僕が生まれる前に姉は六歳まで一人っ子だったというナーバスかつラグジュアリーな位置。そこで母の寵愛と父の慈愛を独占した。僕なんてまだこの世に現れてもいない。その六年間のことに思いを馳せればいかに姉が恵まれたかが分かるだろう。姉はピアノを習い僕も同様にオルガン教室に通うが、三ヶ月も続かない。姉のように音譜を読みたかった。それも読めないままヤマハ音楽教室から遠ざかった。しかし・・・神は見過ごしがない。姉にはないものを僕に与えた。それが走力であり体力だ。このまま行くと僕は国民健康保険を持ってなくとも健康を維持できる自信はあってそれが豆乳の力だ。姉はどっちかというとサプリ頼みだが、僕は全く違う。体力というものに対する見方が両者は違う。てっとり速くサプリで栄養を補完した積りだろうが、僕は寿命で勝つ自信がある。元々六歳下のことをハンディとして相手に献上しても構わない。僕はハンディ負けしない。この強さは虐げられた者にのみ付いた力だろう。クローバー〔苦労が架かる〕と僕は呼称している。