Ss170

 世の中にはそんな馬鹿な…って言う程の衝撃に見舞われることはある。いいな!!って思ってナンパしたら男だった…僕もその時ばかりは躊躇したし、自分を説明しないままそっと帰った。僕には破天荒さはない。びびり屋という屋台を引く思いがかなりあって、落ちこぼれでありながらまだ・・・どこかに正統性を維持して今日ある。それがいわば奇跡と呼ばれる部位だろう。家族は姉のみ。僕が死んでも今の彼女を入れて二人しか集まらない。寂しいを通り越して侘しいのワビがあると僕は感想を漏らす。出来れば僕は今の頑強な身体を維持したまま、六十代を迎えたい。僕が還暦になるのは1962年生まれだから暗算すれば2022年。この②が並ぶ数字も目出度いしそれまでに僕は自分のメリハリを付けたいとそう思う。親父が亡くなって僕は家中を荒探しする。本も全部捲った。額縁の裏も花瓶の底もひっくり返すも小銭一枚出て来ない。豪放らい落という言葉を父に贈ろう。僕らに一銭も残さずぼろぼろの家と土地と税金だけを残してこの世を去った。しかし父にも言い分あるだろう。僕ほど、妻や子供達に尽くした人物はいまいって。父の言葉にも重みはあると今更ながら思う。僕の国民健康保険証支払など存命中は金銭の為に駆けずり回ってくれた。この汗が今は解る。それでも父を豪放らい落と呼ぶのは、人物的に突出していたからだ。自惚れが強かった。どこから来た自信なのか、僕にはいまいち分からない。そこが僕を引かせ続けた。