Ss174

 僕が改めて思うのは、世の中は平等なんだなあっていう感想だ。21年前に、姉が帰郷し、新築一戸建てを威風堂堂と見せつけた時には、やられたな?を思ったけれど、結果どっちも落ちこぼれだったらしくて、僕にも大枚ゲットのチャンスは訪れた。それを元に事業こそ興せなかったけれど母親孝行は出来たと思う。ただ・・・父に対しては申し訳がなかったなって今は反省している。父を罵倒すればするほど、その唾は僕に天から降って来る。このことに気が付いたのは、父が黄泉の国に旅立ってからだ。姉はもっとずっと父を長生きさせたい!!って父を常に入院させておきたいと延命措置を意見して来たが、僕は跳ね除けた。超高齢化社会になって、この種の慈悲こそが日本をたちまち老衰させると、まるで人ごとのようにドライに捉えていた。しかし僕には、もっと父の命を長引かせることが賢明だったと今更ながら思う。それは父の擁護の元にあった時の僕の生活拠点だ。まだ、どこかに威厳を保っていた。父が決して男らしくはなくとも、尊敬する気持ちが残っていたことは認める。親と子の偽らざる正直な気持ちだ。姉の前に出ると僕は両方に肩パットを付けてしまう。そこもきっと起因するのだろう。姉は又バイトに出るようだ。このざっくばらんな、人様と溶け込める力が僕には皆無だった。