Ss173

 僕が持ち金を全部失った経過を知ってみんなもひとまず安堵したことだろう。僕は車と家という大きな買い物を二口していたのだ。その二つ合わせると三千万円なんてあっと言う間に無くなってもおかしくはない。しかし猛省点は存在する。土地の名義を僕にしてしまったのは実は父親だったのだ。自分の寺に相当するセカンドルーム兼、浄土真宗法話出来る処の家を父は持ちたかった。僕が懸賞に応募する話に父はすぐに乗って来た。モデルルームをそのまま差し上げます!!っていう抽選は当時あって、しかし自分の土地でないと駄目だと僕は父に持ち掛ける。世間話や懸賞話にメッポー弱い父の性向を僕は見抜いていた。ズル賢いかもしれないがそうならなければ僕は生きては来れなかった。父の部屋も母の部屋も作って、本当に父が法話出来る部屋まで作る。リビングルームが馬鹿でかかった。襖を外せば三十畳はあっただろう。そこに座布団を敷き詰め人を集めて父は法話をやりたかった。父と仲がいい時代も全くなしではない僕には男の生き方にも喝を入れることが可能だ。それは自分のスタイルを持っていないと潰されるという本能のようなものだろう。はっきり言うがそれが父にはなかった。まず美しい逞しい身体を作ること・・・そこが出来る男の条件になる。