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 原監督がわざわざ出て来て、マシソンの代わりにと麗斗投手を告げる。このタイミングが見事で誰もが固唾を飲み込む。知将と呼ばれるのも分かる気がする。ちゃんと昨日は桜井を目一杯まで投げさせたその事も快挙に結びついた要因だと僕は思う。前回が余りにも唐突な引っ込め方でそれを補てんする程の大いなる信頼のバリケードを僕は見た思いがしたのだ。相手も自分を信じてくれる。そして自分ももちろん監督の言うことに納得が出来る。それが出来る関係を原監督はみずからの素手で構築している。その開始だと昨夜の交代劇を見るべきだろう。僕は阪神ファンだから阪神に期待を掛けて観ているのだが、やはり相手の素薔薇しい点をおざなりにはしたくない。相手の素薔薇しさを奥で活用出来なければトップへ昇り詰めるなど、はなから無理だろう。原監督は以前巨人の監督だったからこそ先が見える。もしも初心者なら頓挫する処でも彼には先見眼がある。マシソンにも納得出来る形で降りて貰えた。みじんも疑いを投手に掛けられない為に、原監督はあの時、マウンドに出て行ったのだ。僕は敵ながら麗斗投手の素朴さが好きで以前から注目していた。桜井同様、媚びる点が全く見られない点が男らしい。原巨人はこのままトップを維持しリーグを突破していくだろう。その原動力になっているのは間違いなく、六十の手習いという初初しい言葉である。