スノーサファイア・マンss13 僕はニートが司る国への序盤を弟が握っている予感がしてならないのだ。確かに収入証明書は頼りない。そのアルバイト収入だけ見ていると、心もとない雰囲気は否めないが、彼には現代の青年達が失った何かが残っている。この痕跡こそが日本の新発見だと思うし、いい意味での突破口になれる資質を弟は持っている可能性が大きい。それは体格がいいとか、弁が立つとか、博識だとかいうレベルの問題ではなく、ニート全員が背負わされてきた十字架を、彼が確実にこれまで背負ってきた可能性?ここは外せない。なぜなら、本当に面と向かってそういう問題に立ち向かっては行かず、いい落とし所で妥協するニートが多く混在する。しかしプライドがあるからこそ、ここまでもつれ込んできたし、妥協しての結婚もなかった。子供も作っていない。この辺に男の美学を禁じえず、もっともっと知りたい気持ちになって来る。ただし、彼は寂しがり屋で一回仲良くなると、ずっともっと関わりたいがあるそうなのだ。僕も自分の心に訊いてみる。そこまでの親睦を築く必要性は果たしてあるのか?彼と関わることで一体今後どんな試練はあるのか?そして彼を知ろうとするのなら、まず何から手始めなのか?問題点はそこに蓄積する。いいことばかりではない。弟はいきなり僕を言葉でノックアウトしないとも限らない。日頃の欝憤は密かに貯めてあるはずだ。しかしここまで来たからにはニートの時間を獲って進みたい僕の気持ちがある。もはや止められない。