ルビー・ウーマンr349 その頃は、ざぼんちゃんに支払うお金にも苦慮しているような状況で、私は家に子供達を置いて、出るようになっていたのです。父は周到にまだ、県会議員選挙出馬をもくろみ、親戚の誰もが反対しても、こっそり自分の中で出ることを決めていたようで、私のもとにお願いに来るのです。どうしても政治に未練がある。これが最後だから、自民党の推薦も取れたからどうか、容子さん、僕を応援してはくれないだろうか?四年前の市会議員選挙の失敗は私の顔を曇らせます。本当は強く反対すべきが、どうしてもそれが出来なかった。誰一人として父を赦す者がいなかったことです。ここで惨敗すれば、きっともう選挙のことは悪夢だったと、さっぱり父が忘れてしまうのでは?は娘の観測としてあったのです。しかし出るからには応援したいし、紹介パンフレットも一軒一軒回りたい。たっての父の希望を私は娘としてイエ~ス!!と一発回答するのです。父はそれで当選した訳ではないのに私が娘で良かった...という安堵の表情で泣くのです。こんなにも選挙大好き男がこの世にいたとは....。絶句しそうになって、家族は本当に大変だろうな?を想像しながら、この父を落ち付かせる事も先決だろうって、パンフレット印刷物を受け取り、昼間、住吉方面を中心に配って回るのです。ここは小さい時に棲んでいたこともあって気分が落ち付く。まだ、その頃には、昭和町方面には田園も至る場所に残っていて、深く深く歩いて、投函作業に開け暮れていくのです。