エメラルド・ウーマンe96 彼に会う日時自体を変更して貰います。天下餅を多々使ってコミカルな川柳は何句も出来てはいた里子の心に突然襲ってきた国松の存在。彼が僕を土台にして臼を作ったの??とまで話し掛けて来るのです。確かに歴史本には最後の惨殺の様子が細かに描写があってしかしかんじんの国松の母親がその時にどうしていたか??そこが全く分からない。すでに殺されていたのでしょうか。ただ、歴史本には男の子を見る目の異様さも同時に描かれていて、天下人の子孫なら必ず親の仇を討ちに来る。その認識だけは顕著だった。虐げられた歴史ですから鵜呑みには出来ませんがその頃の町民がはっきり見ていたという描写に驚くのです。町民はこうしていつの世も同じ?後から連歌にでも詠まれりゃあそれでいいのさって物事の真髄を軽く見積もっていたのだとすれば、言語はもはや手を付けられない位の半端者に陥っているとそう里子は思わざるをえないのです。やじ馬で沿道は溢れ返り、ならず者の見せしめとして国松は処刑されていった。ここを思うとその頃の町民意識から一歩も進んではいない現代人の心の貧しさに里子の心が凍え上がるのです。自分はそういう道のりは歩かない。国松が嫌がる所作には及ばない。ならばどういった描写なら彼の御霊が浮かばれる??って。里子の心は一瞬で江戸時代の初頭にまで遡って行くのです。彼の思いに接近するのが先決。果たしてどんな真実が?にわかに頭の中が忙しくなっていたのです。