サファイア・マン《面白い男編》〔168〕ここまでのアリ地獄に陥ったのは自分の生活態度の自堕落さが招いたこと、彼に工面を頼むようなことは絶対に避けないといけない!!そう奮起しますが家を追い出している事を父から聞いたのか、伯母までようちゃんを非難するのです。お金がないのに身分不相応をやらかしたり、賭けごとをしたりする性癖がようちゃんにはあって、自分の取り返しのつかない行状に泣く。しかし意地だけはあってどうしても自分の力で解決したかった。今回ブラジルから帰省した息子も、昔の文人っていうのは大抵いいとこの坊ちゃんが多かったんではないのか?と当たりを付ける。地位の極端に低い者達や大貧乏の中から出て来る作家を余り見たことがないし、遠藤氏もいい家の出ではなかったのかな?って。確かにフランス留学は大貧乏ではかないませんし、ようちゃんも、金はないとしながらも、文学にこれだけのお金を投資出来たことを思えば、決して貧乏ではなく、根が自堕落だっただけ。彼のように素晴らしい人とせっかくめぐり会っても、相手の欠点ばかりをほじくり返して難癖を付けるだけ。しかし自分がこういう憂き目にあっている事自体、絶好の好機だったのです。