ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔211〕伯母が正月恒例のパーティを三菱の社員達を集めてやるのは慣わしで私も誘われるのですが、シマッタ・・・という奇遇に見舞われます。普通なら、嬉しい再会のはずなのにようちゃんは俯くしかないのです。大阪の万国博覧会に一緒に伯母に連れられて行った女子は、東京の医大に通っていて、成人式で帰郷しこのパーティに御呼ばれしていたのです。伯母は私を紹介したくとも出来なくて、台所の片隅にようちゃんを据え置き雑用を任されるしかなかったのです。そして買い物を頼まれたことをキッカケにようちゃんはそそくさと家路につくのです。これみよがしに相手と自分を比較されてはたまりません。それはようちゃんが陰険なのではなく周囲全員レベルが高かったのです。そういう成人式の晴れ姿もあって、伯母に自分の近況を話す彼女こそは、清楚な正統派美人でようちゃん側にはジェラシーがあったのです。努力せずとも土台が美人っていうのは腹立たしい存在でした。家に帰ってそのことは母には告げずに、涼しい顔で平静を装うのです。どんな完璧な才媛が現われてもようちゃんはびくともしない!!との気迫でいたのも文人を目指していたからで、その強い拘りでどうにか自尊心を保っていたのです。伯母にはエリートを特別扱いする習慣が顕著にあったのです。