ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔86〕キャロルの耳に残るあの美容師さんの言葉・・・男に養われたくない、ここにケッコンが中々進まない若者の拘りも沈殿するようですね。養うとか、養われるといった古風な言葉にたじろぎます。キャロル自体夫に養われてはきたもののこころは自由だったなあと改めてシゲコが与えてくれた境遇に感謝したのです。現実はこうでしょう。キャロルはシゲコによって、物を書く時間と資力が与えられた。このパソコンだって自分の働き出した銭で購入した訳ではない。感謝の気持ちは大いにあるし、恩返しをしなければ・・・とそうは思いますが、夫婦の関係は嫌なのです。それならなぜ?ケッコンを?とみんなが訝るでしょう。キャロルは恋人に逃げられてその翌日は店に休みを申し出て、正しく這うように翌々日店に出勤します。みんなの目が一様に白く見えます。あざ笑っているかのようにも見えますが、じぶんを取り戻そうとトイレに行き正視します。広いトイレではありませんが、鏡も磨きあげてあります。またこの店で一から這い上がっていかなければいけないしんどさは、並大抵のものではなく、足かせだったのです。逃亡した彼は、知り合ってからというもの、ほぼ毎日来てくれていた。いわゆるエブリマンだったのです。こういう貴重な存在を失ったキャロルは前日を境に人生が奈落化していたものの、虚脱感から来るさばさばしたものを内部に感じているから若いってことは凄いんですね~