奈々さんが、相当の顧客をキャロに引き継がせたっていう幸運もあった。しかし、キャロ以外に、彼女には、このクラブに親友がいた。だから、丸ごと全部、キャロに回ってきた訳じゃないんだ。しかし、目をかけてもらうっていうことが、何を意味するのか?それは十分に理解可能だった。奈々さんだって、先を見越す名人だった。スナックに、キャロは、頼まれなくても、その客達を連れて来てくれるだろう~っていうモクロミ。モチモタ引力!!それを、モクロ実って、キャロは、美しく表現するんだ。あえてね・・・。計算高いっていうと、引くけど、もくろ実っていうと、少し、文学的じゃん。その種をキャロに預けたってことなんだ。顧客でも優等生だけが、成長して、奈々さんの店で、大人として、グラス傾けて・・・。そういう大人としてのシルエットを、キャロは奈々さんの客層には感じていたんだ。だからっていって、客をカテゴリー別に選別はせず、平等に、扱ったんだ。金持ちも貧乏も同じような、サービス。もちろん、聞き手。意見求められたときには、ドシドシ言う。何も訊かれないのに、話すってことは、避けた。功を奏じた。ただ、顔が美形で?とか、スタイルが良くって?そういう女の子を好む客とは、口もきいてない。ツマリ、自動選別したんだよね。どういう質問してくるかで、男の大人度も感性の完成度も知的発達度も読めていたんだ。でわ蛍光箇所ですよ~そのスペースを、高級にも、或いは低級にもするのが、男の第一声である。