ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔145〕戦後の混乱や庶民生活の苦悩、そのまざまざを全く知らずにオチコボレにはなっていても雄雄しく生きていたキャロは今でいうところのバイトを再開します。今でいうような就職バイト誌はありませんから大抵が壁紙募集です。ウェイトレス急募、コック募集。キャロルはゲンナマを必要としていましたし、両親から頻繁にもらえるはずがありません。日々色々目が行くし喫茶店にもいきたい!そういったとき手持ち軍資金がゼロでは心もとないというのもある。キャロはまさお君と一緒にアーケードの喫茶店に勤めます。まさお君がカウンター見習いで、キャロは注文受付嬢。もちろんお皿を下げたりもキャロの受け持ちでした。女性客OLの人気のスポットでキャロは喫茶店の馨しさを目の当たりにします。こんな場所を一生知らずに人生を送る人もいるのでは?と自分を景気付けます。この職場の世間の風は凄まじくて、今日の巷ニュースがフロアを駆け巡っているのです。今のように携帯ない時代です。人々は自分の注文したものが来る間、おしゃべりしています。マスターは彫りの深い人情家でいて、どこかクールな接待が受けたのでしょう。みんながみんな、情を絆を求めているのではなく、そっとしておいて欲しい、物思いに耽りたい人々も喫茶という場所をニーズとしていることにキャロは選別眼を極めていきます。ここでは例え、話しかけられても答えなくてもいい顧客常識があったのです。