アクアマリン・マン

 

容子が慌てるのも分る。67歳といえば昔はすでに、腰の曲がるおばあさんだ。なぜ今の67歳は若いのだろう。信じられないほど体力を維持している。強い振りをしている様子は全く見えない。自然体なのだ。籍を入れて夫婦になり所帯を同じくしたとき、ゴミステーションに沢山のゴミ袋を捨てに行くシーンがあった。当然、男の僕が運ぶべきだと率先したが、かなり重たい。手が折れそうに感じた。それを…あいつは…ひょひょいのひょいと持ち上げスピーディにゴミステーションに全部を運び終えた。僕は色男になった気分に一瞬見舞われていた。あの句だ。色男 金と力は なかりけり それからの僕はどうしたか?力仕事は全部アヤツに任せることにしたのだ。