西🏝姫瑠のアディショナルタイム(55)

 今、仮眠を摂ろうと横になりますが中々眠ることが出来ず、明日の草稿をしたためています。父が興奮していて、あたしにそれが伝わる…黄泉の国まで今日は荘厳で満ち溢れているのです。父の両親は光男とタヤでタヤは旧姓濵田。この地区では名家の生まれと聞いています。光男はのぼり職人で和田家の人間は今まで相当に低い評価を受けて来ました。今にして、思い返せば、和田家の皆が私に期待をした理由もうっすら見えてくる。タヤの男の兄弟は平八と猿の助、父は私にノンフィクションを書いてもらいたかった悲願をようやく達成出来たことに、歓喜しているのです。タヤには女姉妹がふたりあって、地元には縁者がわんさか在るのですが、父はあれだけ、スタンドプレーヤーでありながら、しっかりと、私だけを見ていてくれたことをたった今…知って驚きます。幼馴染みロコちゃんの弟さんが今は校長と聞いて、ことの全容がこの百年に凝縮されて、はち切れんばかりに実をつけていることに納得する。みんなが成就に遭遇する一族の快挙です。