アクアマリン・マン85

 

普通は200年後のことなど、考えもしない世界だろう。とうとう容子は睡眠には三種類あることを昨夜発見した。円形の上に正三角形を乗せると余る部位はある。ここが睡眠クッションだ。三種類ある。本当の眠る睡眠、そしてふたつ目は自分が思考を開始しながら途中で途切れた切れ端。これが任意睡眠には含まれる。もうひとつが芸術家たちが持つ創作睡眠だ。これを描きたい・・・と思いつつ、そのまま留保したもの、アイデアの切れ端。カステラの切れ端のように捨てがたいものだろう。この3つを思索型の人々は脳内に持つ。一般的に脳が眠るのみではないことが明快に明かされて僕も驚きを隠せない。すべてはあの斎藤茂太先生の著書から点火を得ている。恋をしなくなったら、老いの始まり・・・それなら結婚しているふたりは、どうすればいいのだろう。老いを一緒に受け止めて行くために、お互いを永遠に恋人同士にしておかないといけない。すると、ボケも来ないし、最高の伴侶にお互いなれるのでは?僕も、実は、眠ることに生前は強くこだわった。深い睡眠がなかなか取れず、イライラした。容子のようにいびきをかいて眠れる人間を常に呪っていた。しかしこれで謎が解けたのだ。僕は思索型人間だった証明が容子の学説で証明され今、万感の思いに至っている。