デニム・ブルーママン17の15

 作曲は頭の中で展開出来たので、その当時、容子に出来ることが別にあるとすれば原稿用紙との奮闘しかなかった。

私の夫の姉からアドバイスを受けていたのです。さぞ、容子さんはくやしかったであろうって私に義姉は打ち明けて来て、将来はちゃんと手に職をつけさせないといけない・・って真剣に対峙してきたのです。義姉は的確なアドバイスを容子に申し付けたことは言うまでもありません。不埒だと思えるような処分を受けたとき、その苦しみを文人なら、みなに開帳が出来る。くやしかったことや哀しかったことを有耶無耶にはせず、書き留めて将来発表することが大事・・・って。容子は深い感化を受けたもののすぐそれに取り掛かることが出来ません。夏休みの宿題で、自分が構想を練ったオルゴールの小箱を原稿用紙に綴じて担任に渡すのです。三角関係が最期まで分からず、オルゴールの小箱にその印字があり判明した・・っていう純粋な恋愛小説です。まだまだ、当時は未熟だったゆえ、私にも見せなかった。しかしそうやってチャレンジの心を焚き付けた義姉の誠心誠意がなかったら、恐らく容子にはなすすべも見つからなかったでしょう。歯がゆさを感じ取っていたのは周囲の大人全員でしたが、当事者やその家族では見えない部位もあったのです。そして・・・義姉は、小説家の本文にも及ぶのです。国を救うのも或いは文人の役目。音楽が高揚を促進して国民に活気を与えるのと同じ効能と役目が文人にも任されている。しかし表現することで同じ、傷ついた同胞が、決起するくらいになるまでには、相当の年月も懸る。今の時代ではなく次の時代が来てようやく・・・っていうケースも当然ある。改めて、私は見直すのです。そうやって発奮を与えるという力量が私には全くなかったからです。☆ドラッグストアモリ中里つつじが丘店にて☆