エメラルド・ウーマン

 容子の祖父ふたり、どちらも悲運の人…父方の光男は、和田家家督騒動に巻き込まれ、結局は何の為に養子になってまで染の仕事に励んだか?その夢は木っ端微塵に砕かれました。母方の祖父脇田大佐はさらに悲劇の人です。勝てる確率はほぼない戦争に若者たちを連れて行く役目。重責だったでしょう。負けることはわかっていても、征かないといけなかった…なんていう、辛い役目でしょう。冷静になって何度、鑑みても間違いだったことは分かる。私達日本人は誰もが薄々分かっていながら、国の言いなりにならざるを得なかった。今はどういう暫定で当時を見ているか?皆の分析は分かれていますが、基本は同じです。また、同じことが、起こらないとは誰にも言い切れません。国を司る人々が、恒久の平和を推奨していても、疑心暗鬼は各人の頭にゼロではない。容子には、悲劇の人、ふたりの祖父を、真正面から対峙して欲しいと念願してきました。それはどうやら叶ったようです。