ブラックオニキス・マン174

 

 いつかは自分の城を持ちたい願望と、コンビニ経営は似ている。前者が個人が家を建てること、後者がコンビニ一国一城の主である。しかしコンビニを開業するには資金も必要で、場所が良ければ成功することもあるだろうが、ほぼどこも厳しい経営をそれぞれが強いられている。一番コンビニの中で経費の嵩むのがおしぼりでその次がスプーンだろう。それらは恐らくこちらから、ください!!と申し出る者に限り配られて、僕はそれでも満足である。本当におしぼりが必要なら僕もお願いするが、それくらい我慢が出来る類いではある。今までまったく本気になってコンビニについて考えることがなく、バイトをこなしてお小遣いを得れば良いだった母の傾向に、さらなる好機が見えて来た。温かいごはんと納豆である。コンビニに優劣の差がこれから出てくるしこれまで真剣にごはんについて考えていたとは考えにくいコンビニだ。頼みの綱が弁当とおにぎりだけだった。白飯のみもない。チンご飯はあってもパック入りのご飯はない。全員の家に電子レンジがあるとは限らない。だから顧客用の電子レンジも必要になってくる。家庭用600ワットを置くと家の雰囲気も味わえる。上昇するコンビニ、同じ推移で止まるコンビニ、そして下降を辿るコンビニ。恐らく明るい笑顔や大きな声での快活な挨拶など、従来通りの手法も手堅い。入ってその瞬間にいらっしゃいませ!!って言われると、何も買わずに出ることが出来ないとの呪縛に駆られてしまう。そして本当は必要なかったのに、肉まんを購入してしまうことだってある。衝動買いとは種類が異なる買い手衝動を何としてでもゲットしないといけない。人間の心理と購買意欲をみんなが試されている。たかがコンビニ、されどもコンビニである。