デニム・ブルーママン17の3

 どんどん暗がりに落ち込んでいくように見えて、容子のこころにはそれに対峙するだけの資質がどんどん出来てくる。不思議なものです。幾らなんでも、人間の価値は成績では決められはしない・・・この根本があったからこそ、懐には自信も漲っていたのでしょう。当初からその辺での闘争心のようなものが顕著だったことが物事を見え易くしていたのかもしれません。父親はそれから足繁く学校へ通うようになります。成績が上がらないのは勉強の仕方が悪いのでは?との発奮もあったようです。仕方さえ、捉えれば、成績はきっと向上する・・・と。

 容子自体は、こう答えたかったのだと私は想像していたのです。成績が問題になる人生をあたしは歩まない。そのテリトリーの中にはいない・・・と。大胆不敵としか言いようがないですが、本当に、肝心の教科書を開いても頭の中に全然入っていかないし、何を言いたいのか、ぼかしてある・・・そんな風にしか、すでに高校の教科書は容子の頭の中にはまるで入って来なかった・・・ということです。思春期を過ぎ青春期を待ち望む容子の心は、がらんどうでした。みんなが楽しそうに、うきうきしているのに、自分が置かれた立場は、ほぼ転校が決まった場違いの生徒。先生も、島流しを実行するために容子を呼び出し、無駄とは思いつつ、喝を入れていた。夫は、全く容子の気持ちには添えないことはわかっていながら、一縷ののぞみに賭けていました。担任に申し訳を入れていたようです。もっと改善させます・・・というような父親としての意気込みだった。しかし肝心の容子にはプラチナ自尊心があった。学校の成績云々は全く関係のない世界を生きるだろうとの強い信念があったようなのです。☆時津イオンワッツにて☆