デニム・ブルーママン☆第16章

 容子は本当の秀才をまだ見たことがなかったと思います。大阪万博に一緒に行ったあの生徒は別格です。例えば長崎大学付属中学校に入学出来るような…。当時の矢上村は長崎の片田舎でしかも市に編入されたのが、容子は小学二年生。県立高校へ入学出来るのも25名くらいで300人中の1割にも満たない。それなのにそこまで上位に食い込んでいくことが大事だったの?って夫に話を持ちかけたくとも私は遠慮をしてしまうのです。この子の幼児教育に必死になりすぎて失敗した経験が警鐘を促していたのです。容子の教育は外野に任せて・・・ただ、ぶつかってどうしようもないとき、相談に乗ってあげるくらいで充分だって見切りを入れていたのです。ロコちゃんと一緒にバスに乗って東高へ通いたい気持ちもあったにはあったでしょう。しかし彼女はクールで容子みたいにのんびりと道草しながら歩きません。ロコちゃんは早足でしかも歩幅が大きい。さっさか歩いて見えなくなるのはわかっていました。しかし容子は自分なりに不器用を打破して成績の順位を取り戻していく。それはやはり塾に行っている教室のメンバーも刺激を促進してくれたことが起因するのでしょう。私には入学したあとが大変だ・・・っていうのがあったので迷いもあったのです。女子校に行けばそこそこ勉強についていける、この辺でも女子には女子の道がある当時が物語っています。50年前はまだ女子はそこまで学力を求められてはいなかった。奥様は18歳は容子の好きなテレビ番組で結婚にも憧れがあったのです。みんながそれぞれのステータスの紐を握っていて、それがわかるのは未来♬嬉しいようで失望も覚悟していないと駄目だったのです。