エメラルド・ウーマン51

 夫に収入がなくても妻が自分の手に職を付けていれば家族がなんとか飢えを凌ぐことが出来る。私の母の手堅さを何回容子に解いて聞かせたでしょう。ちゃんと聞いてはいたのでしょうが、明らかに目線は宇宙を見ていた。なんで人の話を真剣に聞かないの?って叱ると今度が傑作です。聞いている振りをしているのです。私は不思議な五感を持っていました。ある程度人の感じ方や捉え方がわかるのです。直感とは少し違うその心眼を活かして何度も容子の心の中を放浪してでも探ろうとしていた痕跡があるのです。この子は女子だけど、無頼派気質を保有している。それがあることが作歌をしやすくするのかもな?って思ったりしましたが、人生の生き方には必ず要領がある。この点で私が危惧し、こうして前に置いてあの子にこんこんと言って聞かせたことがようやく今になって届いているのかな?って半ば嬉しくなってくる気持ちも実はあるのです。何万光年も時間が経過してわかってくれたのか?っていうよろこび以外にも法外なものが控えています。容子がみずからの経験を視座にして国民を動員出来る世界の到来です。失敗の数が軒並み多いけど、その失敗を乗り越えてタフ。従来の作家の生き方とは外れているかもしれません。毎日動く真相が物語の核になっていきます。世界的にもノンフィクションが映画になりやすい傾向は言えるでしょう。ピンクメガホンを持って容子が自分の人生を映画にするかもしれません。多岐に渡る才能の神様に乾杯ですね♬