デニム・ブルーママン15の8

 私も恋は力を倍増してくれるひとつのエネルギーだと思う方です。一時期ですがしょっちゅう姉の夫から盛んに固定電話で電話がかかってきていたときも私は心のどこかで歓喜していた部位があったことを否めません。姉の夫は芸術家肌で、いい家で育成されたのにどこかそれに反発しているような無頼派気質があって母性本能をくすぐっていたのです。僕はみっちゃんが好きだった・・・ってしょっちゅう言われて私の名前をみっちゃんと呼ぶのは彼だけで、青いりんごだけど捨てるのは惜しいくらいに自分でも不思議過ぎる感性を持っていることが謎だったのです。姉の尻に敷かれてそれでも姉を立てている善良な義兄。やがて私自身が電話もおっくうになって外してしまったんですが、彼からの電話をどこかで待っているような節があった・・・女性の分からない点です。嫌だなって思うその裏にはご贔屓にしてくれるっていう好感度も控えるのです。容子はそういう一面を持っているかもしれません。押しの一手で来られると、どうも断れない。女性の美しい成り立ちですが中々ブサイクにはそういう場面すら訪れない。おいおいそこを悟っていくのですが、それがあるだけに無碍に出来ない私の優しさも関与していたのです。恋は無類の力を有する。その人物の一生を左右しかねない爆弾とも言える・・・サスペンスよりも私は恋愛映画を好んでいました。じっくりそれに耽溺出来ることは専業主婦に与えられたご加護でもあったのです。