エメラルド・ウーマン35

 万博に行くというとき、私は千葉まで足を延ばすことを打ち明けたら、さすがに容子の母親は困った顔をします。中学2年生は最も社会性や友好力が構築される時期。それを逃さず経験の網に掛けることも、親のなすべき技能と思いましたが、全く、芳しい返事を貰えそうになかったのです。千葉には容子の伯父にあたる人物がいて、純心幼稚園の運動会で会ったっきり。そこには、いとこになる一歳下の女子がいることで刺激になる…を予感していたのですが、全く、糠に釘でケラケラ笑うだけで母親は承諾をくれない。私は数々のお見合い話は全部放(ほか)して来ていたのですが実は、結婚してもいいかもな…ていう男性との話も順調だったのです。容子は親と旅行に行ったことがない子供だった。修学旅行とは又違う発見がきっとあるはずと私は良い返事をもらえる事を諦めず、弟嫁にぶつかって行ったのです。独身最後の旅行の相手として黒羽の矢を容子に立てたのです。