デニム・ブルーママン11の15

 美知がまだ小康状態の頃、私は呼ばれます。椿油が欲しいの…って。髪を解いて手入れしたい彼女の気持ちが、私をいても立ってもいられない気持ちにして、すぐに出掛けることにします。ありがとう♪っていう声を聞き振り返ると、ピアノを聞きたいから容子ちゃんが時間あるときに、あたしの傍に来るよう、伝えてくれない?と頼まれるのです。ピアノの習い事は休止していましたが、容子はピアノピースや音楽雑誌を購入し好き勝手にアレンジしたりを楽しんでいたのです。一度聞いた楽曲はすぐ弾ける器用な子でした。美知は瞳を輝かせ話します。あの曲が聞きたいの…薔薇が咲いたっていう歌。容子ちゃんに弾いて欲しいの。学校から帰った容子にすぐ話すと快諾が得られ嬉しくなるのです。大流行したので私も知っていたし、容子も好きな曲らしくてピアノの前に座り弾き始めるのです。