デニム・ブルーママン☆第11章

 誰も悪くはないのに、疑心暗鬼になって、犯人探しをする…不安定極まりない私を正常路線に導いたのは日本の義務教育でした。もしも、日本が敗戦の重しにうちひしがれ、その重圧に屈していたなら私の爽快感も皆無だった。テレビが癒やしでした。弊害もあってしかり、しかし有益も大きくて私は自分の疑問符を拭い去る。こんなものが時代の長者に?という偏見をみずから払拭したのです。容子も弟も、近所にある映画館へ怪獣映画の公開があるたび大騒ぎして観に行っていたのですが、やがて、映画館は閉まり、容子が四年生のとき、東望(とうぼう)の浜海水浴場も遊泳禁止になります。そのときは、出不精の私も、戸惑い、後悔します。よもや海が消えるなんて…にわかには信じられず、自分の中で強固になり過ぎた常識の木屑を処分に至るのです。