デニム・ブルーママン15の17

 道ですれ違ったときに、音楽の先生は私の顔をじっと見ながらこう言うのです。トンビが鷹を産んだわね?って。冗談にもほどがあるって思いつつもそれが賞賛であることを私は時間が経過して知るのです。私がとんび?あの子が鷹?そう簡単に信じられないセリフです。飲み込めないわけではないけど、どういうわけか疑問符がアタマに点滅しないのです。トンビがあたし?でも容子は鷹?それはいつまでたっても消えない褒め言葉になって私の人生に君臨をし続けるのです。その先までは音楽の先生は言いません。ただ、すれ違って通過して行ったとき言われただけ・・・。人生ではそのようなことが頻繁に起こるわけではないし、結果、容子の楽曲は選出はされなかったけど、今も発表せずに容子は持っているのです。みんなに聞かせたくて・・・でしょうか?いいえ、それよりももっと寛大な気持ちが大きいと思います。15歳で作った楽曲にしては起承転結が優れているし、誰が聞いてもシューベルトと思う。聞き違うのです。日本の幕開けで容子は使いたい意向があるのです。50年も温めて、誰も耳にしたことがない楽曲が日本のプロローグを飾る・・・しかもまだ、容子は66歳で健在でいる・・・それが叶っていくのも神ご加護。恐らく容子は奇特な人物に出会った可能性が高い。それは間違いない処でしょう。