イエローダイヤ・マン1289

 僕は紙パンツと思しき黒のデカパンを穿いて、もはや開き直った気持ちになって小型ベッドに横になる。なぜ、これまで、大腸カメラを怖がっていたの?って逆に質問するくらい元気を装う。しかし怖がってがかがた震えていることがばれる。血圧を測るからだ。心拍が数字で出る。緊張しているようだけど、大丈夫!!看護師さんがめちゃ優しくて手をしっかり握っている。私はずっと近くにいますよ?まったくあなたの傍を離れませんからね!?って。僕はすべての業務の大事さを思いながらも、看護士さんのこういった声掛けが、凄く効果があることを初めて知る。人と人を言葉が繋ぐという間接だ。看護士さんには僕がビビリ屋であることがすぐに分かったのだろう。大丈夫ですよ!?が何回かあって、ぎゅっと手を握りしめてくれ、感動の坩堝に・・・そして点滴麻酔も少しずつ効いてくる。僕はまったく痛みを感じないまま完了を知るのだった。後ろが裂けたデカパンを来年も着けることになるだろう。ああいう紙製のハーフパンツもあれば欲しい気分になった。もしも百円ショップにあればきっと懐かしくて買うだろう。前ではなく後ろに裂け目があることで僕も気持ちは急降下の反意語まで到達していたのだ。人間は恐ろしがっていては何も出来ない。それを確かめた昨日だった。術後一泊して朝の食事の美味しいこと・・・実は前々日の朝の九時から食ってなかった。緊張で食えなかった。正しく二日間空けたあとの食事で腹は鳴る。大きく切った玉ねぎ入りコンソメが僕を天国へいざなった。玉ねぎって大きく切る方がまじで味が浸みて素晴らしい。僕の親指よりでかかった。