教師を辞めるっていう最後の決断の際は誰にも相談はしなかった。しかし後日それを聞き、夫の姉がこう言ったそうで、内容は次のようなものだった。もったいないことはせずに、思い直してみてもいいんじゃないと?って。せっかく13年勤務してさっさと辞めてしまう神経が分からない。働くことは子供を義母に任させればいいだろうし、嫌なら保育園だってある・・・私は余計なお世話とまず嫌な気分になるけど、そのあと、核心に襲われる。向こうは容子の事件を全く知らない・・・という真実です。私はやっと自分がなぜ辞めるに至ったのか?本当の理由をみずから知るのです。自信喪失に他ならない。しかし容子の対面も凄く大事でせっかく改心して全く別の人間構築に入っている段階でいろいろと蒸し返すことは何の役にも立たないは想像出来たのです。ただ、それを伝達に回った夫の性質が嫌悪でした。わざわざ私にそれを言わずともいいじゃないの?夫婦であの惨事を乗り切ってきたというのにコロっと相手の手勢として動いてしまう安易さ・・・心のある日本男児のすることじゃあないと思ったし、本当に教師を辞めることがもったいないと彼は思うなら私にチョクで言って欲しい気持ちがあったのです。彼はそういう風見鶏タイプ。誰の意見でもそのまま持ちうる、ぶしつけな部分を持っていたのです。