デニム・ブルー・サファイアママン5の10

 まさかこの容子が将来本を出版など私の頭にはまったく飛来するわけもなく、むしろ人の物語の朗読が上手かった・・・イントネーションをつけて読む。朗読。この並はずれた才能はむしろアナウンサーかも?って私は思っていたのは間違いないのです。ねずみを見ながら作曲したのか鼻歌も歌ってくれる。コミカルでどじなねずみのこれからを歌った旋律。オルガンで何度も弾いてくれるので私は楽譜にすることを奨めるのです。ネズミはそんなに可愛いの?うん!!でも私は肝心なことを言うのを忘れていたのです。これはそのまま逃がす訳にはいかない小動物。一匹いれば必ず増えてしまう。近所でも駆除していくようには鉄則だったのです。音楽フレーズとは乖離した相克の人間世界をまだ、容子に説明しないまま、即興で曲が出来て、容子の頭を今の今混乱させてしまうより、何も言わないでおこう・・・があった。しかしあの子は寝たように見えていたけど、処分をそっと襖の影から見ていた。思いだすたび、どんな小さな子供でも真相を知りたいと思えば、追い続ける性質を持っているんだな・・・が襲います。ネズミ一匹どうだっていいじゃない?ではないのです。私は怖くて、容子が寝てから夫に処分を頼みます。夫が躊躇はします。殺さずどこか遠くに・・・私はそれだけは嫌だった・・・。中途時半端になることだけは避けたかった。このネズミは大軍になって来る予想があったのです。