昼から家に帰宅するようになって、容子は鍵っ子としての長い時間を過ごすことになる。しかしそれも幼稚園に入園するまでと、テキスト通りに進めていく日々です。語彙力はあったんですが、落ち着きが無い点が心配ではあった。ゆっくりじっくり考えて答えを出して欲しい場面でまごまごするのです。面接の時間がもっとも重要でしたが、私は、様々なことを考えて心中落ち着いていないのは母親の自分ではないか?って根本に気が付くのです。日本が敗戦してどのような教育方針でいくのか、ばらばらだった国とは別に、自分の中でも結論が出ていなかったのです。試験に挑むには自分がない状態では済まないのでは?様々な難関の中でも自分がない・・・という状況のセメギに遭遇していたのです。なぜ、この幼稚園を選んだのですか?基本的な設問ですら母親の私が答えに迷う。なぜなら教育のみなら自分に出来たからです。学ぶべきは集団での作法やコミュニケーション能力、そして友達との融和でしょう。私はそれなら、なぜ、義母たちを忌み嫌っているのでしょう?そこに違和感がまずある。容子はすべてを見抜いていたのです。母親はまだ未熟で、将来的には不安の多い母である?って。図星であるだけに慎重になったのです。みんながアパート中が、教師である私に疑問符を投げかけていた。なぜ、夫を大事に出来ないの?って。それこそが妥当でズバリな質問でした。