エメラルド・ウーマン38

 私の中で強い憤りがあったことは認めます。容子の母親への嫉妬です。気の優しい弟を思い通り、駒みたいに扱うその態度に、実は今の言葉で言うとむかついていたのです。元海軍大佐の娘としての威厳や礼節を見たい気持ちがあたしの本音にあったからこそ、この反発は起こっていました。彼女はまるで下男のように私の弟を扱っていましたからその反動で容子にも辛辣に物言う場面が、私にはあったのです。しかし糠に釘で容子は傷つかない。なんでだろう?顔はオッペシャンって直に言っても笑顔なんです。おっぺしゃんとはこちら方言でブサイクということ。私は自分より容子の鼻が団子鼻だったことで溜飲をおろしていた。しかし容子はオッペシャンっていう言葉が外来語みたいで凄い!!って逆に喜ぶのです。オッペン化粧品みたいだ・・・って。私はブサイクを指摘しようと目論んだけど、これでは意味がない。あの娘には効き目がないのです。しかし母親の傲慢さが容子に伝染することはないようだ・・ってそこでは安堵しますが、中2の頃からなにか得体のしれない不安が私を襲ってしまうのです。教育の過渡期の犠牲者になってしまう・・・仲間たちの警句は全く関係ないって跳ね返せるだけの情報を私は持ってはいなかった。しかし的を射る発言になってしまうのなら容子は学生として座礁を免れない。周辺の子どもたちがいかに学習しているか?そこをじかに見てもらいたいが為に私はライバル設定をして見せたのです。

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