デニム・ブルー・サファイアママン4の10

 誰もが形や方法を知っているように、教育や養育には基本があったけど、親友が言ったことが頭から離れなかったのです。オレンジを一杯貨車に積んでもそれがこぼれてしまうときってどんな時?ひとつひとつ、順を追って話してくれるのです。幌馬車みたいに屋根がないのが幼児期の教育。それを間違いなくわかっていれば、積みすぎて溢れるようなことにならない。スピードが物凄い高速列車ならどうなる?知識はレールの上に溢れていくしかない。でもそれをひとつひとつ、オレンジを包み込む作業が幼児教育といえる。彼女が言いたかった気持ちに私は相対していながら、どこか、不穏当だったのです。ひとつひとつを包むように大事に・・・って今なら分かる。理解が出来る。あの事件が起こる前・・・そして起こったあと、全く外の景色も違って見えるくらいに私の心は塞ぎこむけど、当の容子は事件のあと、新天地を掴むのですから強運としか言えない。まるで何事もなかったかのように新しい生活環境をゲットし、トムソーヤの冒険を味わい尽くす・・・。事件の前は予想だにしていなかったことが、起こってしまうこと。全くわからずにいた。預かって頂いていた民家からはだんだんと手を引いてもらいながら自分でアパートまで帰り着くようになっていたのです。ひとつひとつ道を教えていただき、それが可能になっていたのです。